今回取り扱う問題は1980年東京大学の文系で出題された整数問題です。
3つの条件から5つの整数を求めるような問題で、整数問題は苦手な人と得意な人で差がつきやすいので、合否を分けるような1問だったと思います。
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それではさっそくやっていきましょう。
問題文
$a^2+b^2+c^2+d^2=n^2-6$
$a+b+c+d\leqq n$
$a\geqq b\geqq c\geqq d$
を満たすものとする。このような整数の組$\,(n,\, a,\, b,\, c,\, d)\,$をすべて求めよ。
これから先は解説になります。
自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。
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本問題を解く上での考え方・ポイント
さて、今回の問題は整数問題なわけですが、整数問題を解く上で、9割以上は下記の解き方で解くことができます。
②条件から範囲を絞る
③倍数や余りに注目する
$a^2+b^2+c^2+d^2=n^2-6$
$a+b+c+d\leqq n$
$a\geqq b\geqq c\geqq d$
を見て、どこから考えていこうかとなるのですが、2つ目の式を両辺2乗すれば、いい感じに1番の式とぶつけることができそうです。($\, n\,$を消すことができる)
解答・解説
それでは、本問題の解答です。
解答
$a^2+b^2+c^2+d^2=n^2-6$ $\cdots$①
$a+b+c+d\leqq n$$\cdots$②
$a\geqq b\geqq c\geqq d$$\cdots$③
②を両辺2乗して、
$a^2+b^2+c^2+d^2+$$2(ab+ac+ad+bc+bd+cd)$$\leqq n^2$
この式に①を代入して、
$n^2-6+$$2(ab+ac+ad+bc+bd+cd)$$\leqq n^2$
$\Leftrightarrow$$ab+ac+ad+bc+bd+cd$$\leqq 3$ $\cdots$④
③より、
$ab+ac+ad+bc+bd+cd$$\geqq 6d^2\,$であるから、
$6d^2\leqq 3$
$d\,$は$\, 0\,$以上の整数より、$d=0$
これを④に代入すると、
$ab+ac+bc\leqq 3$
同様に③より、
$ab+ac+bc\,geqq 3c^2\,$であるから、
$3c^2\leqq 3$
$\Leftrightarrow c^2\leqq 1$
$c\,$は$\, 0\,$以上の整数より、$c=0,\, 1$
(ⅰ)$c=0\,$のとき
④に代入して、$ab\leqq 3$
同様に③より、$b^2\leqq 3$
$b\,$は$\, 0\,$以上の整数より、$b=0,\, 1$
(ア)$b=0\,$のとき
①に代入して、
$a^2=n^2-6$
$\Leftrightarrow n^2-a^2=6$
$\Leftrightarrow (n-a)(n+a)=6$
$n,\, a\,$は$\, 0\,$以上の整数より、
$(n-a,\, n+a)=(1,\, 6),\,(2,\, 3)$
$n-a,\, n+a\,$の偶奇は一致するので、これを満たす$\, n,\, a\,$は存在しない。
(イ)$b=2\,$のとき
①に代入して、
$a^2+1=n^2-6$
$\Leftrightarrow (n-a)(n+a)=7$
(ア)のときと同様に考え、
$(n-a,\, n+a)=(1,\, 7)$
これを解くと、
$(n,\, a)=(4,\, 3)$
(ⅱ)$c=1\,$のとき
④に代入して、$ab+a+b\leqq 3$
$a\geqq b\geqq 1\,$より、$(a,\, b)=(1,\, 1)$に限られる。
このとき①より、
$3=n^2-6$
$\Leftrightarrow n^2=9$
$\therefore \, n=3$
以上より、求める答えは、
$(n,\, a,\, b,\, c,\, d)=$$(4,\, 3,\, 1,\, 0,\, 0),\,$$(3,\, 1,\, 1,\, 1,\, 0)$
さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は1980年東京大学の整数問題を解説しました。
条件から範囲を絞って考えるような整数問題は、難関大学でよく出題されるので、しっかりと解けるようになっておきましょう。
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今回は以上です。