今回取り扱う問題は2023年京都大学の問題です。
整式の割り算の問題ですが、2通りの方法で解説します。
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それではさっそくやっていきましょう。
問題文
これから先は解説になります。
自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。
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本問題を解く上での考え方・ポイント
本問題はいくつか解法がありますが、2つの解法を紹介していきます。
②合同式で解く
解法①の考え方・ポイントについて
整式の割り算なので、以下のように考えた人がいるかもしれません。
整式$\,x^{2023}-1\,$を整式$\,x^4+x^3+x^2+x+1\,$で割ったときの商を$\, P(x)\,$とおいて、
$x^{2023}-1=(x^4+x^3+x^2+1)P(x)$ $+ax^3+bx^2+cx+d$
と式を立て、そこから$\, x^4+x^3+x^2+1=0\,$となるような$\, x\,$を代入して、$a,\, b,\, c,\, d\,$を求めていくと考えた人がいるかもしれません。
ですが、$x^4+x^3+x^2+1=0\,$を求めるのもまず難しいですし、求められたとしてもそこから代入して$\,a,\, b,\, c,\, d\,$を求めるなんて、まあ無理です。
そこで、$x^4+x^3+x^2+x+1\,$を因数に持つ整式で割って考えていきます。どういうことか解説します。
$x^4+x^3+x^2+x+1\,$を因数に含むようなものを考えたいので、$x-1\,$をかけます。
$(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)$ $=x^5-1$
$x^{2023}-1\,$を$\, x^5-1\,$で割ったときの商を$\, P(x)\,$、余りを$\, Q(x)\,$とおくと、
$x^{2023}-1=(x^5-1)P(x)+Q(x)$
$=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)P(x)+Q(x)$
と表すことができます。
そうすると、$x^4+x^3+x^2+x+1\,$で割ったときの商は$\,(x-1)P(x)\,$と見ることができ、余りは$Q(x)$と見ることができます。
ただし、$x^5-1\,$で割ったときを考えるのもまだしんどいです。そこで次はこの$\, x^5-1 \,$を因数に含んだ次数の高い整式を考えます。
$x^{2020}-1=$ $(x^5-1)(x^{2015}+x^{2010}+x^{2005}+\cdots +x^5+1)$
であるので、$x^{2020}-1\,$は$\, x^5-1\,$を因数にもち、つまり$\, x^4+x^3+x^2+x+1\,$を因数にもつことになります。
$x^{2020}-1\,$で割ったときの商や余りなら簡単に求めることができます。
解法②の考え方・ポイントについて
余りを考えるので合同式で考えていきます。
$(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)=x^5-1$
なので、$x^5-1\equiv 0\pmod {x^4+x^3+x^2+x+1}\,$であることが分かります。
$-1\,$を右辺に移項すると
$x^5\equiv 1 \pmod {x^4+x^3+x^2+x+1}$という式を得ることができます。
$x^{2023}\,$は$(x^5)^{404} \cdot x^3\,$なので、上記の合同式を使えば簡単に計算ができそうです。
解答・解説
ポイント・考え方を踏まえたうえで、それぞれの解答は以下の通りです。
解法①:$x^4+x^3+x^2+x+1\,$を因数に持つ次数の高い整式で割る
$x^5-1=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)$
$x^{2020}-1=$ $(x^5-1)(x^{2015}+x^{2010}+x^{2005}+\cdots +x^5+1)$
である。
$x^{2023}-1\,$を$\, x^{2020}-1\,$で割ったときを考えると、
$x^{2023}-1=(x^{2020}-1)\cdot x^3+x^3-1$
$= (x^5-1)(x^{2015}+x^{2010}+\cdots +x^5+1)\cdot x^3$ $+x^3-1$
$= (x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)$ $(x^{2015}+x^{2010}+\cdots +x^5+1)$ $\cdot x^3+x^3-1$
$\therefore \,$求める余りは、$x^3-1$
解法②:合同式
法を$\,x^4+x^3+x^2+x+1\,$で考える。
$(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)=x^5-1\equiv 0$
$\therefore \, x^5\equiv 1$
$x^{2023}-1=x^{2020}\cdot x^3 -1$
$=(x^5)^{404}\cdot x^3 -1$
$\equiv 1^{404}\cdot x^3-1$ $=x^3-1$
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さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は2023年京都大学の整式の割り算の問題を解説しました。
合同式は特に苦手と考えている人も多いですが、合同式を使えるようになれば解ける問題の幅もグッと広がります。
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