今回取り扱う問題は2018年早稲田大学商学部で出題された問題です。
積分を含んだ恒等式の問題で、一見難しく見えますが一つ一つ丁寧に条件を考えていけば解くことができます。
意外と差がついたような問題だったのではないかと思います。
それではさっそくやっていきましょう。
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問題文
すべての実数$\,x\,$に対して、$\int ^x _0\{P(t)\}^mdt=P(x^3)-P(0)$
このとき$\,P(x)=\boxed{\vphantom{0}\qquad}\,$である。
これから先は解説になります。
自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。
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本問題を解く上でのポイント
まず、$P(x)\,$の条件を整理してみましょう。
$P(x)\,$は$\,x\,$の整式で表された関数と言われているので、$P(x)\,$は
$P(x)=a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots +a_1x+a_0\,(n\,$は$\,0\,$以上の整数$)$
という形をしていることが分かります。
さらに、$P(x)\,$は定数関数ではないので、
$P(x)=a_0\,$という形をしていないので、1次以上の整式で表された関数であることが分かります。
(上記の式でいうと$\,n\,$は$\,1\,$以上の整数ということが分かります。)
では、1次以上の整式で表された関数ということまで分かったので、$P(x)\,$の次数を$\,n\,(n\,$は$\,1\,$以上の整数$)$と置いて考えてみましょう。
そうすると、$\int ^x _0\{P(t)\}^mdt=P(x^3)-P(0)$の両辺の次数を文字で表すことができます。
$\int ^x _0\{P(t)\}^mdt\,$の次数は$\,mn+1\,$
$P(x^3)-P(0)\,$の次数は$3n$
すべての実数$\,x\,$に対して、$\int ^x _0\{P(t)\}^mdt=P(x^3)-P(0)\,$が成り立つわけですからこの式は恒等式であり、両辺の次数は等しいです。
なので、$mn+1=3n$という式を得ることができます。
$m,\,n\,$はそれぞれ正の整数であるので、あとは整数問題ですね。積の形に簡単に変形できるのでそこから$\,m\,$と$\,n\,$の値を求めることができそうです。
あとは、そこから$\,P(x)\,$を求めていくわけですが、ゴリゴリ計算しても解くことはできますが、積分の部分で計算の工夫をすることができます。
下記の公式を利用することで、計算が比較的楽になります。
解答・解説
解答
$P(x)\,$の次数を$\,n\,(n\,$は$\,1\,$以上の整数$)$と置く。
$\int ^x _0\{P(t)\}^mdt=P(x^3)-P(0)\cdots ①$
両辺の次数を比較すると、
$mn+1=3n$
$\Leftrightarrow mn-3n=-1$
$\Leftrightarrow n(m-3)=-1$
$m,\,n\,$は正の整数であるから、
$(n,\,m-3)=(1,\,-1)$
$\therefore \,(m,\,n)=(2,\,1)$
$n=1\,$であるから、$P(x)=ax+b\,$とおける。
①に代入すると、
$\int_0^x (at+b)^2dt=ax^3+b-b$
$\Leftrightarrow \int_0^x (at+b)^2dt=ax^3$
両辺を$\,x\,$で微分すると、
$(ax+b)^2=3ax^2$
$\Leftrightarrow a^2x^2+2abx+b^2=3ax^2$
両辺の係数を比較して$\,a,\,b\,$を求めると、
$a=0,\,3\;b=0$
$P(x)\,$は定数関数ではないので$\,a\neq 0$
$\therefore \,a=3,\;b=0$
以上より、求める$\,P(x)\,$は,
$P(x)=3x$
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さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は2018年早稲田大学の問題を解説しました。
整式や定数関数などの単語が含まれていて一見難しく見える人もいるかもしれませんが、条件を整理していけば難しくないですね。
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今回は以上です。