今回取り扱う問題は1998年東京大学大学の問題です。
愚直に計算しようと思うと、計算地獄になる問題です。
いかに工夫して計算するかが問われるような問題でした。
それではさっそくやっていきましょう。
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問題文
$$f(x)=(3x^2 – 4)(x-a+\frac{1}{a})$$
の極大値と極小値の差が最小となる$a$の値を求めよ。
これから先は解説になります。
自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。
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本問題を解く上での考え方・ポイント
まず、極大値と極小値を持つための条件を確認しておきましょう。
$y’=3ax^2+2bx+c=0$の判別式$D$を考えたときに、
$D>0$となれば極値をもちます。
極大値と極小値をそれぞれ求めて差を考えようとすると計算が煩雑になります。
今回問われているのは、極大値と極小値の差であり、わざわざ極大値と極小値を求める必要はありません。
極大値と極小値の差を出す上で計算を工夫します。
今回は2つの解法で解いていきたいと思います。
②積分の1/6公式を利用(推奨)
解答・解説
解法①:解と係数の関係を利用
解説
まず、極大値と極小値を持たないといけないので、極大値と極小値を持つ$a$の範囲を考えます。
3次関数が極大値と極小値をもつ条件は、$f'(x)=0$を考えたときに、判別式$D$が$D>0$となれば、極大値と極小値を持ちます。
そこから、その極値の差について考えていきます。
解答
$f(x)=(3x^2-4)(x-a+\frac{1}{a})$ $\,(a\neq0)$
$f'(x)=6x\cdot (x-a+\frac{1}{a})+(3x^2-4)$
$\,\,\,=9x^2-6(a-\frac{1}{a})x-4$
$f'(x)=0$の判別式$D$について考えると
$\frac{D}{4}=9(a-\frac{1}{a})^2+36>0$
$\therefore \,$ $f'(x)=0$は2つの解をもつので,$f(x)$は極大値と極小値をもつ。
$f'(x)=0$の解を$\alpha ,\,\beta$ $(\alpha < \beta)$とすると、解と係数の関係より
$\alpha + \beta = \frac{2}{3} (a-\frac{1}{a})$
$\alpha \beta = -\frac{4}{9}$
また、$f(x)$は
$x=\alpha$で,極大値$f(\alpha)$を取り、$x=\beta$で,極小値$f(\beta)$を取る。
極大値と極小値の差を$d$とする。
$d=f(\alpha) – f(\beta)$
$=3(\alpha ^3 -\beta ^3)-3(a-\frac{1}{a})(\alpha ^2 – \beta ^2)-4(\alpha – \beta)$
$=(\alpha – \beta)\{3(\alpha ^2 + \alpha \beta + \beta ^2) -3(a-\frac{1}{a})(\alpha + \beta)-4\}$
$=-\sqrt{(\alpha + \beta) ^2 -4\alpha \beta} \cdot \{3\{(\alpha + \beta)^2 – \alpha \beta\}-3(a-\frac{1}{a})(\alpha + \beta)-4\}$ $(\because \,\alpha < \beta)$
これに、
$\alpha + \beta = \frac{2}{3} (a-\frac{1}{a})$
$\alpha \beta = -\frac{4}{9}$
を代入して,計算すると
$d=-\frac{2}{3}\sqrt{(a-\frac{1}{a})^2+4} \cdot \{-\frac{2}{3}(a-\frac{1}{a}) ^2 – \frac{8}{3} \}$
$=\frac{4}{9}\{(a-\frac{1}{a})^2 +4\}^{\frac{3}{2}}$
$\therefore \,$ $a-\frac{1}{a} = 0$のとき,$d$は最小となる。
$\therefore \,$ $a-\frac{1}{a}=0$
$\Leftrightarrow$ $a^2 = 1$
$\therefore \,$求める$a$の値は, $a=\pm 1 $
解法②:積分の1/6公式を利用(推奨)
解説
極大値$f(\alpha)$と極小値$f(\beta)$の差を$d$とすると、
$d = f(\alpha) – f(\beta)$
$\,\,\,\, = \int^{\alpha}_{\beta} f'(x) dx$と変形することができます。
$f'(x) = 0$の解が$\alpha , \, \beta$なので、積分の1/6公式が使えます。
解答
$f(x)=(3x^2-4)(x-a+\frac{1}{a})$ $\,(a\neq0)$
$f'(x)=6x\cdot (x-a+\frac{1}{a})+(3x^2-4)$
$\,\,\,=9x^2-6(a-\frac{1}{a})x-4$
$f'(x)=0$の判別式$D$について考えると
$\frac{D}{4}=9(a-\frac{1}{a})^2+36>0$
$\therefore \,$ $f'(x)=0$は2つの解をもつので,$f(x)$は極大値と極小値をもつ。
$f'(x)=0$の解を$\alpha ,\,\beta$ $(\alpha < \beta)$とすると、$f(x)$は
$x=\alpha$で,極大値$f(\alpha)$を取り、$x=\beta$で,極小値$f(\beta)$を取る。
極大値と極小値の差を$d$とする。
$d = f(\alpha) – f(\beta)$
$\,\,\,\, = \int^{\alpha}_{\beta} f'(x) dx$
$\,\,\,\, = \int^{\alpha}_{\beta} 9(x-\alpha)(x-\beta) dx$
$\,\,\,\, =- \int^{\beta}_{\alpha} 9(x-\alpha)(x-\beta) dx$
$\,\,\,\, =(-9)\times \{-\frac{1}{6}(\beta – \alpha)^3\}$
$\,\,\,\, =\frac{3}{2}(\beta – \alpha)^3$
$f'(x)=0$の解は,$x=\frac{1 \pm \sqrt{(a-\frac{1}{a})^2 +4}}{3}$であるから,
$\beta – \alpha = \frac{2\sqrt{(a- \frac{1}{a})^2 + 4}}{3}$
$\therefore \,$ $d=\frac{4}{9}\{(a-\frac{1}{a})^2 + 4 \}^{\frac{3}{2}}$
$\therefore \,$ $a-\frac{1}{a} = 0$のとき,$d$は最小となる。
$\therefore \,$ $a-\frac{1}{a}=0$
$\Leftrightarrow$ $a^2 = 1$
$\therefore \,$求める$a$の値は, $a=\pm 1 $
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さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は1998年東京大学の問題を解説しました。
極大値と極小値の差が絡むような問題は1/6公式と非常に相性がいいです。
愚直に計算しては時間をかなり使ってしまうので、極大値と極小値の差ときたら1/6公式が使えないか疑ってみるのがいいと思います。
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今回は以上です。