今回取り扱う問題は2014年山形大学の問題(一部省略)です。
数Ⅲの微分で解くことができる問題ですが、実は数Ⅲを習っていなくても解けるようなおもしろい問題です。
数Ⅲの微分での解法だけでなく、別解についても詳しく解説していきます。
それではさっそくやっていきましょう。
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問題文
$T=\frac{\sin\theta\cos\theta}{1+\sin ^2 \theta}$とする。
$\theta$が$0<\theta<\frac{\pi}{2}$の範囲を動くとき,$T$の最大値を求めよ。
これから先は解説になります。
自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。
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本問題を解く上での考え方・ポイント
先述したように、2通りで本問題を解いていきます。
解法①:微分して増減表を考える
最大値・最小値を求めるような問題は微分は万能な方法です。
三角関数の微分が含まれているので、数Ⅲを習っている人じゃないと厳しいですが、習っていれば基本的な問題ですね。
$\theta$の範囲で増減表を考えれば解くことができます。
解法②:2点を通る直線の傾きと見る
式変形をして2点を通る直線の傾きとしてみることで、実は簡単に求めることができます。
2点を通る直線の傾きは中学生でも習いますよね。
例えば点$(1,1)$と点$(3,5)$の傾きは、
$\frac{yの増加量}{xの増加量}=\frac{5-1}{3-1}$ですよね。
そして、今回の問題です。
$T$を倍角の公式や半角の公式を用いて式変形すると下記のようになります。
$=\frac{\frac{1}{2}\sin 2\theta}{1+\frac{1-\cos 2\theta}{2}}$
$=\frac{\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}$
$=\frac{0-\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}\times (-1)$
解答・解説
解法①の解答・解説
解説
いきなり微分するのはしんどいので、式変形してから微分します。
微分出来たら、あとは増減表を考えるだけです。
解答
$T=\frac{\sin\theta\cos\theta}{1+\sin ^2 \theta}$
$=\frac{\frac{1}{2}\sin 2\theta}{1+\frac{1-\cos 2\theta}{2}}$
$=\frac{\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}$
$f(2\theta)=\frac{\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}$とする。
$f'(2\theta)=\frac{2\cos 2\theta(3-\cos 2\theta)-2\sin ^2 2\theta}{(3-\cos 2\theta)^2}$
$\,\,\,\, =\frac{6\cos 2\theta -2}{(3-\cos 2\theta)^2}$
$f'(2\theta)=0$のとき,$\cos 2\theta = \frac{1}{3}$
このとき,$\sin 2\theta = \frac{2\sqrt{2}}{3}(\because \, 0<\theta<\frac{\pi}{2})$
このときの$2\theta$を$\alpha$とおくと、増減表は下記の通り。
よって、$\,T\,$は$\, 2\theta = \alpha\,$のとき最大値を取る。
$\therefore \,$求める値は$\frac{\frac{2\sqrt{2}}{3}}{3-\frac{1}{2}}$$=\frac{2\sqrt{2}}{8}$$=\frac{\sqrt{2}}{4}$
解法②の解答・解説
解説
先述した通り、式変形することで点$(3,0)$ と点$(\cos 2\theta , \sin 2\theta)$を通る直線の傾きを考えます。
実際にグラフを書いてみると、点$(3,0)$ と点$(\cos 2\theta , \sin 2\theta)$を通る直線の傾きは、単位円に直線が接するときに$T$が最大になることが分かります。
円と直線が接するときなので、接点の角度は90度と分かるので三平方の定理より長さも求めることができて、$T$が最大となるときの$\sin 2\theta$や$\cos 2\theta$の値が簡単に求まります。
解答
$T=\frac{\sin\theta\cos\theta}{1+\sin ^2 \theta}$
$=\frac{\frac{1}{2}\sin 2\theta}{1+\frac{1-\cos 2\theta}{2}}$
$=\frac{\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}$
$=\frac{0-\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}\times (-1)$
よって、$\frac{0-\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}$の値が最小となるとき、$T$の値が最大となる。
また、$\frac{0-\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}$は、点$(3,0)$ と点$(\cos 2\theta , \sin 2\theta)$を通る直線の傾きであるから、これが最小となるときは下記のグラフのとき。
グラフより、$\frac{0-\sin 2\theta}{3-\cos 2\theta}$の値が最小となるときの$\sin 2\theta$と$\cos 2\theta$の値は、
$\sin 2\theta = \frac{2\sqrt{2}}{3},$$\cos 2\theta = \frac{1}{3}$
よって、求める$T$の最大値は、
$\frac{\frac{2\sqrt{2}}{3}}{3-\frac{1}{2}}$$=\frac{2\sqrt{2}}{8}$$=\frac{\sqrt{2}}{4}$
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さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は2014年山形大学の問題を解説しました。
いろいろな解法に触れることで数学力は伸びていきます。理系で数Ⅲを習っている人も、解法②でも解けるようになってもらえると嬉しいです。
また、数学の成績を伸ばしたいと考えている方向けにおすすめの数学の参考書を下記でまとめています。
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今回は以上です。