今回取り扱う問題は2021年北海道大学の理系の後期の問題です。
整数問題の重要な考え方がぎゅっと詰まった非常に良い問題です。
難関大学や医学部を目指している方は、誘導なしでも解きたいような問題でした。
それではさっそくやっていきましょう。
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問題文
(1)整数$m$に対して,$m^2$を$4$で割った余りは$0$または$1$であることを示せ。
(2)自然数$n,k$が
$$25\times 3^n = k^2 + 176 \cdots (①)$$
を満たすとき,$n$は偶数であることを示せ。
(3) (2)の関係式(①)を満たす自然数の組$(n,k)$をすべて求めよ。
これから先は解説になります。
自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。
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本問題を解く上での考え方・ポイント
さて、今回の問題は整数問題なわけですが、整数問題を解く上で、9割以上は下記の解き方で解くことができます。
②条件から範囲を絞る
③倍数や余りに注目する
そして、整数問題で最も大事なのが、
解答・解説
(1)の解答・解説
解説
4で割ったときの余りを計算しろと言っているので、合同式で証明してしまいましょう。
解答
法を$4$とする。
(ⅰ)$m \equiv 0$のとき,$m^2 \equiv 0$
(ⅱ)$m \equiv 1$のとき,$m^2 \equiv 1^2 \equiv 1$
(ⅲ)$m \equiv 2$のとき,$m^2 \equiv 2^2 \equiv 0$
(ⅳ)$m \equiv 3$のとき,$m^2 \equiv 3^2 = 9 \equiv 1$
以上より,題意は示された。
(2)の解答・解説
解説
$n$が偶数であることを言いたいので,$n$が奇数であると仮定して矛盾が出てくるか背理法で考えていきましょう。
また,(1)でわざわざ証明させたということなので,「(1)の内容,$\mod 4$を使うんだろうな」とアンテナを張りながら解いていきます。
解答
背理法により示す。
$25\times 3^n = k^2 + 176 \cdots (①)$を満たすとき,$n$は奇数と仮定する。
法を$4$として考える
(①の左辺)$= 25 \times 3^n \equiv 1 \times (-1)^n = -1$ $(\because n$は奇数$)$
(①の右辺)$= k^2 + 176 \equiv k^2$
(1)より$k^2 \equiv 0$または$1$であるから矛盾。
$\therefore \,$題意は示された。
(3)の解答・解説
解説
(2)で$n$が偶数と分かったので、$2l$とでも文字で置いて考えていきます。
そうすると、因数分解することができるので、整数問題の解き方の一つ目の「積の形を作る」が見えてきます。
積の形になったら、しらみつぶしでも良いですが、パターンが多いので面倒くさいです。
そこで、整数問題の解き方の二つ目の「条件より範囲を絞る」を使って面倒な作業は省略してしまいましょう。
解答
(2)より,$n=2l\, (l\,$は自然数$)$とおく。
$25\times 3^{2l} = k^2 + 176$
$\Leftrightarrow (5 \times 3^l )^2 – k^2 = 176$
$\Leftrightarrow (5 \times 3^l + k)(5 \times 3^l – k)=2^4 \times 11$
$k$は自然数より,$ (5 \times 3^l + k)>(5 \times 3^l – k)$
また,$ 5 \times 3^l + k$は明らかに正であるので,$5 \times 3^l – k$も正。
また, $(5 \times 3^l + k)+(5 \times 3^l – k)=2\times 5 \times 3^l$より,$5 \times 3^l + k$と$5 \times 3^l – k$の偶奇は一致する。
よって,$(5 \times 3^l + k ,\, 5 \times 3^l – k) =$ $(88,2),(44,4),(22,8)$の3通り。
$\therefore (5 \times 3^l, k) $ $= (45, 43),(24,20),(15,7)$
(ⅰ)$(5 \times 3^l ,k)=(45,43)$のとき,
$(l,k)=(2,43)$
$\therefore (n,k)=(4,43)$
(ⅱ)$(5 \times 3^l ,k)=(24,20)$のとき,
$5 \times 3^l = 24$
上記を満たす自然数$l$はないので不適。
(ⅲ)$(5 \times 3^l ,k)=(15,7)$のとき,
$(l,k)=(1,7)$
$\therefore (n,k)=(2,7)$
以上より,$(n,k)=(4,43),(2,7)$
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さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は2021年北海道大学の理系の後期の整数問題を解説しました。
整数問題の大事な考え方がぎゅっと詰まった問題なので、ぜひ解けるようになってもらいたい問題でした。
また、数学の成績を伸ばしたいと考えている方向けにおすすめの数学の参考書を下記でまとめています。
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今回は以上です。