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2015年お茶の水女子大学の不等式の証明問題の解答・解説

数B
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今回取り扱う問題は2015年お茶の水女子大学の問題です。

 

記号が多くて、「なんだこれ」となって諦める人がおそらく多いような問題です。

ですが、きちんと式が何を表しているかを考えれば解ける問題です。

差がつくような問題なので、ぜひ取りたい問題でした。

 

 

それではさっそくやっていきましょう。

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問題文

 $m$を$2$以上の自然数,$n$を自然数とするとき,次の不等式
$$_{mn}C_n \geqq m^n > \sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i$$
が成り立つことを示せ。

これから先は解説になります。

自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。

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本問題を解く上での考え方・ポイント

記号が多く、ぱっと見た時に「なんだこれ?」と戸惑う方が多いと思います。

 

この式をじっと眺めていても証明することは難しいです。

 

記号が多いので、見慣れた形に変形してあげることで見えてきます。
$_{mn}C_n$ や $\sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i$を見やすい形に変形します。

 

また、不等式を一気にこの不等式を証明するのはしんどいので、
$_{mn}C_n \geqq m^n$ と $ m^n > \sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i$と分けて証明していきます。

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解答・解説

解説

$_{mn}C_n$を変形して、ばらして記述してみると、
$_{mn}C_n = \frac{mn}{n}\cdot\frac{mn-1}{n-1}\cdots\frac{mn-k}{n-k}\cdots\frac{mn-(n-1)}{1}$
となります。

また、$m^n$をばらして記述してみると、
$m^n=m\cdot m \cdots m$
となります。

 

それぞれ掛け算の形になっているわけですが、それぞれの個数を見てみると$n$個の掛け算と同じです。

 

なので、$\frac{mn-k}{n-k}$が$m$より大きいことが言えれば、$_{mn}C_n$は$m^n$より大きいということが言えます。

 

また、$\sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i$もばらして記述してみると、
$\sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i = m^0 + m^1 + \cdots + m^{n-1}$
となるのですが、これは見てもらって分かる通り、「初項1,公比$m$,項数$n$の等比数列の和」です。

なので、等比数列の和の公式より、$\sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i = \frac{m^n -1}{m-1}$と計算できます。

 

等比数列の和の公式
初項$a$,公比$r$,項数$n$の等比数列の和を$S_n$とする。
①$r \neq 1$のとき、
$$S_n = \frac{a(1-r^n)}{1-r}= \frac{a(r^n -1)}{r-1}$$
②$r = 1$のとき、
$$S_n = na $$

 

あとは、$\frac{m^n -1}{m-1}$と$m^n$だったら、引き算で計算できるので大小比較できそうです。

 

解答

$_{mn}C_n \geqq m^n$について考える。

$_{mn}C_n = \frac{mn}{n}\cdot\frac{mn-1}{n-1}\cdots\frac{mn-k}{n-k}\cdots\frac{mn-(n-1)}{1}$
$m^n=m\cdot m \cdots m$
である。

$k(kは1 \leqq k \leqq n-1の整数)$に対して、
$\frac{mn-k}{n-k}-m$$=\frac{mn-k-m(n-k)}{n-k}$
$=\frac{mk-k}{n-k}$
$=\frac{k(m-1)}{n-k} > 0$$(\because \,1\leqq k \leqq n-1,m\geqq 2)$

よって,$_{mn}C_n \geqq m^n$ $(等号成立はn=1のとき)$

 

$m^n > \sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i$について考える。

$\sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i = m^0 + m^1 + \cdots + m^{n-1}$
$\,\,\,\,\,\,\, = \frac{m^n -1}{m-1}$

$m^n – \frac{m^n -1}{m-1}$$=\frac{m^n(m-1)-m^n+1}{m-1}$
$=\frac{m^{n+1}-2\cdot m^n+1}{m-1}$
$=\frac{m^n(m-2)+1}{m-1} > 0$$(\because \, m\geqq 2)$

$\therefore \, m^n > \sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i$が成り立つ。

以上より、$_{mn}C_n \geqq m^n > \sum\limits_{i=0}^{n-1}m^i$は示された。

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さいごに

いかがでしたでしょうか。   今回は2015年お茶の水大学の問題を解説しました。

 

記号で表された数式がどのようなことを言っているのか、しっかり読み取れば満点を取れる問題でした。

入試本番で出ても、こういった問題は焦らず手を動かしてみて考えることが大事です。

 

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今回は以上です。

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