今回取り扱う問題は2014年京都大学の問題です。
漸化式と常用対数の問題です。方針は簡単なのですが、注意点があります。
この注意点に気をつけないと大幅な減点に繋がります。難易度はそこまで高くないですが、満点を取れた人は少ないのではないでしょうか。
それではさっそくやっていきましょう。
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問題文
$$a_1 = 2,\,a_{n+1}=2a_n -1\,(n=1,2,3,\cdots )$$
で定められる数列$\{ a_n \}$を考える。
(1) 数列$\{ a_n \}$の一般項を求めよ。
(2) 次の不等式
$$a_n^2-2a_n >10^{15}$$
を満たす最小の自然数$n$を求めよ。
ただし,$0.3010 < \log_{10}2 < 0.3011$であることは用いてよい。
これから先は解説になります。
自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。
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本問題を解く上での考え方・ポイント
(1)の考え方・ポイント
漸化式の典型的な形です。
教科書にも載っているようなレベルなので、京大を受ける人は絶対に落としてはいけない問題です。
$a_{n+1}=2a_n -1\,$を見た瞬間に特性方程式型($a_{n+1}=pa_n+q$の形)と気付きたいです。
特性方程式を解くと、
$\alpha = 2\alpha – 1$
$\Leftrightarrow \alpha = 1$
となるので、$a_{n+1}=2a_n -1\,$は$a_{n+1}-1=2(a_n -1)\,$と変形できるので、そこから求めていきましょう。
(2)の考え方・ポイント
今回の問題の難しいのはこの(2)です。
注意点があり、ミスをすると大幅な減点になります。
(1)で数列$\{a_n\}$の一般項を求めると、$a_n=2^{n-1}+1$となります。
その結果を(2)の不等式に代入し、計算すると$2^{2n-2}-1>10^{15}$という式を得ることができます。これを満たす最小の自然数$n$を求めていきたいです。
底を$10$で両辺対数を取ればこの不等式を解くことができそうですが、$2^{2n-2}-1$の$-1$が邪魔です。
そこで、いっそのこと$-1$を無視して考えてしまいます。$10^{15}$など考える値は大きな値なので、この$-1$が与える影響はめちゃくちゃ小さなものです。
なので、$2^{2n-2}>10^{15}$でいったん考えて、これを満たす最小の自然数$n$を求めます。
ただし、これを答えとしてしまうと大きく減点されてしまいます。
この求めた$n$は、$-1$を勝手に自分で取り除いたものの結果に過ぎません。なので、この$-1$を踏まえて考えたときも同じ結果であるということをきちんと述べる必要があります。
解答・解説
では、上記の通り、ポイントを抑えたところで解説です。
(1)の解答
$a_{n+1}=2a_n -1$
$\Leftrightarrow a_{n+1}-1=2(a_n -1)$
$\therefore \, a_n-1=2^{n-1}\cdot (a_1 -1)$
$\qquad \qquad =2^{n-1}$
$\therefore \, a_n=2^{n-1}+1$
(2)の解答
(1)で求めた$a_n=2^{n-1}+1$を$a_n^2-2a_n$に代入する。
$a_n^2-2a_n$
$=(a_n-1)^2-1$
$=(2^{n-1})^2-1$
$=2^{2n-2}-1 > 10^{15}$
$2^{2n-2}>2^{2n-2}-1 > 10^{15}$である。
$2^{2n-2}> 10^{15}$において両辺$10$で対数をとると、
$\log_{10}2^{2n-2} > \log_{10}10^{15}$
$\Leftrightarrow (2n-2)\log_{10}2 > 15$
$\Leftrightarrow n>1+\dfrac{15}{2\log_{10}2}$ $\cdots ①$
与えられた条件、$0.3010 < \log_{10}2 < 0.3011$より、$①$を満たす最小の自然数$n$は$26$。
$2^{2n-2}=4^{n-1}$であり、
$n\geqq 2$において、$1$の位は$4$または$6$であるから、
$n=26$のとき、すなわち$2^{50}-1$は、$10^{15}より大きい。$
$\therefore \, 2^{2\cdot 26 – 2}-1>10^{15}$であるから、求める最小の自然数$n$は$26$。
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さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は2014年京都大学の文系大問4の漸化式と常用対数の問題を解説しました。
常用対数をとる時に、邪魔なものを一度無視して考えるという工夫が必要な問題でした。
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