今回取り扱う問題は1989年東京大学の問題です。
巨大数を扱うような問題で、分子が大きな分数の扱いに強くなれる1問です。
それではさっそくやっていきましょう。
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問題文
ただし,$3^{21}=10460353203\,$を用いてよい。
これから先は解説になります。
自力で解いてみたい方は、ここでいったんストップして挑戦してみてください。
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本問題を解く上での考え方・ポイント
桁数については、以下のように不等式で挟み込むことで求めることができます。
$10^n\leqq \dfrac{10^{210}}{10^{10}+3} < 10^{n+1}$
上記のように不等式を作ることで、$n+1\,$桁と求めることができます。
解答・解説
以上のポイントを踏まえながら解答です。
解答
桁数について考える。
$\dfrac{10^{210}}{10^{11}}<\dfrac{10^{210}}{10^{10}+3}<\dfrac{10^{210}}{10^{10}}$
$\Leftrightarrow 10^{199}<\dfrac{10^{210}}{10^{10}+3}<10^{200}$
$\therefore \,$求める整数部分の桁数は200桁。
1の位について考える。
$\dfrac{10^{210}}{10^{10}+3}$
$=\dfrac{(10^{10}+3-3)^{21}}{10^{10}+3}$
$10^{10}+3=n\,$と置く。
$\dfrac{(n-3)^{21}}{n}$
$=\dfrac{\displaystyle\sum_{k=0}^{21} {}_{21}C_k n^{21-k}(-3)^k}{n}$
$=\displaystyle\sum_{k=0}^{20} {}_{21}C_k n^{20-k}\cdot (-3)^k+\dfrac{(-3)^{21}}{n}$ $\cdots$①
$\dfrac{3^{21}}{n}$について考える。
$1<\dfrac{10460353203}{10000000003}<2$$\cdots$② である。
$\displaystyle\sum_{k=0}^{20} {}_{21}C_k n^{20-k}\cdot (-3)^k\,$の1の位について考えていく。
①より、
$\dfrac{(n-3)^{21}}{n}$$=\displaystyle\sum_{k=0}^{20} {}_{21}C_k n^{20-k}\cdot (-3)^k+\dfrac{(-3)^{21}}{n}$であるから、両辺$\, n\,$倍して整理すると、
$(n-3)^{21}=$$n\left( \displaystyle\sum_{k=0}^{20} {}_{21}C_k n^{20-k}\cdot (-3)^k\right)$$-3^{21}$
$\Leftrightarrow$$10^{210}+3^{21}=(10^{10}+3)$$\left( \displaystyle\sum_{k=0}^{20} {}_{21}C_k n^{20-k}\cdot (-3)^k\right)$
$10^{210}+3^{21}\,$と$\,10^{10}+3\,$の1の位の数は$\, 3$
$\therefore \,$ $\displaystyle\sum_{k=0}^{20} {}_{21}C_k n^{20-k}\cdot (-3)^k\,$の1の位は$\, 1\cdots$③
②、③より、求める$\,\dfrac{10^{210}}{10^{10}+3}\,$の1の位の数は$\, 9$
さいごに
いかがでしたでしょうか。
今回は1989年東京大学の巨大数を扱うような問題を解説しました。
頭でっかちの分数は、「整数+分数」の形に変形することで、扱いやすくなります。二項定理が力を発揮するような問題でした。
(ちなみに、二項定理ではなく、因数分解を使っても同じように考えて解くことができます。良かったら考えてみてください)
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今回は以上です。